賃金構造基本統計調査(賃金センサス)とは|調査の対象・時期と用語、年収の出し方
「看護師の平均年収」「30代の平均年収」など、職種や年代ごとの平均年収の多くは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにしています。 本記事では、この調査がどんな人を対象に、いつ調べているのか、統計表に出てくる用語の意味、そして統計から年収を出す方法を解説します。 当サイトの年収データも、この調査の数字を使っています。
賃金構造基本統計調査とは
賃金構造基本統計調査は、統計法にもとづく国の基幹統計で、主要な産業で働く人の賃金の実態を、雇用形態・就業形態・職種・性別・年齢・学歴・勤続年数・経験年数などに分けて明らかにする調査です。 昭和23年から毎年続く調査の流れを受け継いでいて、「賃金センサス」とも呼ばれます。 交通事故の損害賠償で、将来得られたはずの収入(逸失利益)を見積もるときの基準としても使われています。
調査の対象・時期・規模
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施 | 厚生労働省 |
| 地域 | 日本全国(一部の島しょを除く) |
| 産業 | 建設業・製造業・情報通信業・医療,福祉など16大産業 |
| 事業所 | 常用労働者5人以上の民営事業所と、10人以上の公営事業所から抽出 |
| 規模 | 約8万事業所・約170万人の労働者を抽出 |
| 調べる給与 | 調査年の6月分の給与と、前年1年間の賞与 |
| 調査の時期 | 毎年7月 |
抽出された事業所が、労働者一人ひとりの性別・年齢・職種・給与などを調査票に記入する方式で、個人に直接アンケートをとる調査ではありません。 現在の最新は2025年の調査です。
統計表に出てくる主な用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| きまって支給する現金給与額 | 6月分として支給された、毎月決まって支払われる給与。基本給・各種手当・通勤手当のほか、残業代(超過労働給与額)も含む。税金や社会保険料を引く前の額 |
| 所定内給与額 | きまって支給する現金給与額から、超過労働給与額を引いた額。いわば「残業代を除いた月給」 |
| 超過労働給与額 | 時間外勤務手当・深夜勤務手当・休日出勤手当・宿日直手当・交替手当 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 前年1月〜12月の1年間に支払われた賞与・期末手当など |
| 一般労働者 | 短時間労働者以外の、通常の所定労働時間・日数で働く人 |
| 短時間労働者 | 同じ事業所の一般の労働者より、1日の所定労働時間が短いか、1週の所定労働日数が少ない人(パートタイムなど) |
| 企業規模 | その企業全体の常用労働者数。1,000人以上を大企業、100〜999人を中企業、10〜99人を小企業と区分する |
厚生労働省の公表資料で「賃金」と書かれているときは、ふつう6月分の所定内給与額の平均を指します。 ニュースで報じられる「平均賃金」も、多くはこの所定内給与額です。
統計から年収を出す方法
賃金構造基本統計調査には「年収」という項目はありません。年収を出すときは、次の式で計算するのが一般的です。
年収 = きまって支給する現金給与額 × 12 + 年間賞与その他特別給与額
2025年の調査では、一般労働者のきまって支給する現金給与額が37.0万円、年間賞与その他特別給与額が101.0万円で、 この式で計算した平均年収は545.6万円になります。当サイトの年収データも、すべてこの式で計算しています。
この計算の注意点
- 6月分を12倍している:残業の多い月・少ない月の違いは反映されません。
- 賞与は前年の分:月給は調査年、賞与は前年の実績なので、1年ずれた数字を足しています。
- 前年の途中で入社した人:賞与が1年分そろっていないため、勤続年数の短い層では年収が低めに出ることがあります。
自分の年収を同じ式で計算する方法は 年収の計算方法 で解説しています。
国税庁の民間給与実態統計調査との違い
平均年収の統計には、国税庁の民間給与実態統計調査もあります。2つの調査は対象も調べ方も違うため、平均の金額も違います。
| 項目 | 賃金構造基本統計調査 | 民間給与実態統計調査 |
|---|---|---|
| 実施 | 厚生労働省 | 国税庁 |
| 調べ方 | 6月分の給与と前年の賞与を、事業所が記入 | 1年間に支払われた給与を、源泉徴収の記録から集計 |
| パートなど | 一般労働者と短時間労働者を分けて集計 | 1年を通じて勤務した人なら、パートなども含めて集計 |
| わかる区分 | 職種・性別・年齢・学歴・企業規模・都道府県など、細かい | 性別・年齢・業種・事業所規模など |
| 平均の金額 | 一般労働者だけなら高めに出る | パートなども含むため低めに出る |
「職種別」「学歴別」の平均年収を知りたいときは賃金構造基本統計調査、「働いている人全体の1年間の給与」を知りたいときは民間給与実態統計調査、と使い分けるのがおすすめです。
当サイトの年収データとの関係
当サイトの年収データは、賃金構造基本統計調査の統計表から、一般労働者(短時間労働者を除く)・民営事業所・企業規模10人以上の数字を使っています。 職種別・都道府県別・年齢別・男女別・学歴別・企業規模別の平均年収を、上の式で計算して表示しています。
※ 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2025年。一般労働者(短時間労働者を除く)・民営事業所・企業規模10人以上)。平均値の読み方は 年収の平均と中央値の違い 、男女の差は 男女の賃金格差 で解説しています。
よくある質問
賃金センサスとは何ですか?
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の通称です。職種・性別・年齢・学歴・企業規模などに分けて賃金の実態を調べる国の基幹統計で、交通事故の損害賠償で収入を見積もるときなどにも使われます。
所定内給与額とは?
6月分として支給された毎月決まって支払われる給与(きまって支給する現金給与額)から、残業代・深夜手当・休日出勤手当などの超過労働給与額を引いた額です。税金や社会保険料を引く前の金額です。
賃金構造基本統計調査と民間給与実態統計調査の違いは?
賃金構造基本統計調査は厚生労働省が6月分の給与と前年の賞与を調べるもので、職種別などの細かい区分がわかります。民間給与実態統計調査は国税庁が源泉徴収の記録から1年間の給与を調べるもので、パートなども含むため、平均は低めに出ます。
まとめ
賃金構造基本統計調査(賃金センサス)は、6月分の給与と前年の賞与を、職種・年齢・学歴などに分けて調べる国の統計です。 年収は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で計算できます。職種や年代ごとの平均年収は、年収データで確認できます。